連載コラム

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2023年12月22日

なでしこリーグのSDGs もう一つのゴール 福岡J・アンクラス編

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福岡県の人口の特徴は20代から上の年代で女性の割合が男性を上回ることです。しかし、令和4年度福岡県男女共同参画白書によると、福岡県内の女性の非正規雇用の割合は男性に比べて極端に高く、多くの女性が希望する職に就けない現実が浮き彫りとなっています。

福岡J・アンクラスは株式会社グリーンカードとパートナーシップ契約を結んでいます。契約後、選手5人とコーチ1人が株式会社グリーンカードの社員として働き始めました。福岡J・アンクラスのスポンサー営業や広報業務を兼務するデュアルキャリアに挑戦しているのです。

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選手が自ら新規スポンサーを獲得する「ばりキャリ隊」の活動

多くの女性が最前線で活躍するサッカー界でも、まだジェンダー平等が十分に確保できたとはいえません。福岡J・アンクラスは女性活躍を推進し、伝統的に男性が担うとされてきた分野でも女性の就業機会を開拓しています。株式会社グリーンカードでの活動を「ばりキャリ隊」と名付け、これを広く知らせることで、社会全体のダイバーシティ向上に寄与することを目指しています。

GKコーチの有川枝里さんは、多くの人がジェンダーに対して抱く先入観を打破する必要性を感じています。

「スポーツ業界の一部で、まだ『営業は男の人がやる仕事』と思われているところがあります。でも、営業が、男性でなければできない仕事かというと、そのようなことはないと思います。」

藤崎愛乃選手は、「ばりキャリ隊」を女子スポーツ界に一石を投じる挑戦と捉えていました。

「女子チームの選手が自ら新規スポンサー獲得の営業をするのは珍しいそうです。この取り組みを通じて先駆けとなりロールモデルを作りたいです。」

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女性の就業のロールモデルを目指す

社会人1年目の原日樺選手は「最初は話す力に不安がありました」と、取り組み開始当初を振り返ります。しかし、今は、自信に満ちています。周りからの目も変わってきました。「自分たちの環境を自分たちで作っていきたい」と話します。

成果も現れています。すでに、約60の企業とパートナー契約を結ぶことができました。福岡J・アンクラスの公式サイトの「スポンサー一覧」を見ると、たくさんのロゴが並びます。その大半が「ばりキャリ隊」の営業活動によるものです。

企業のリストアップを行う、アポイントを獲得する、訪問する、毎日の営業活動に加え、情報発信も「ばりキャリ隊」の大切な業務です。「活動ブログ」やSNSで活動報告を行なっています。

平坂咲希選手は社会人4年目。今まで、営業の仕事をしたことがありませんでした。経験で得られた気づきややりがいを仲間に伝えます。

「営業をするには、まず、自分たちのことを知る必要があります。いざ、訪問先で話そうと思ったら、なでしこリーグのこともチームのことも、説明できるほどきちんと理解できていない自分に気がつきました。」

毎日の取り組みが口コミを広げ、「ばりキャリ隊」の活動は、次第に地元メディアに取り上げられるようになりました。記事等を見た人から選手に応援の声が届いています。さらには、パートナー契約を結んだ企業が、さらにパートナー企業を拡大するための営業方法や、わかりやすい資料の作り方をアドバイスしてくれることもあります。良い循環が機能し始めています。

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「ばりキャリ隊」は「女性の可能性を無限に広げる取り組み」の一つ

福岡J・アンクラスは5歳から小学6年生の女の子を対象にしたアンクラスジュニアスクールを開催しています。また、未就学児を対象とする ANCLAS ノーヴァ・スクールでは性別に関係なくボールに触れることができます。そして、「女性の可能性を無限に広げる取り組み」は、こうしたボールのないところでも拡大しています。

Text by 石井和裕

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