連載コラム

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2022年01月20日

日本全国なでしこリーグの街を訪ねて ノルディーア北海道編

ノルディーア北海道は北の大地で挑戦を続けています。どのような人々が女子サッカーを普及し、このクラブを守り、背中を押し、ここまで発展させてきたのでしょうか。
今回は、雪の北海道で女子サッカーを愛する人たちを訪ねます。

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さっぽろテレビ塔

将来は東区役所に選手の垂れ幕を掲げたい
札幌市東区長 小田原史佳さん

ノルディーア北海道は、主に札幌市東区の札幌サッカーアミューズメントパークでトレーニングと試合をしています。その縁もあって、ノルディーア北海道は、2021年10月に札幌市東区と「東区まちづくりパートナー協定」を締結しました。
東区は区民の健康づくりに力を入れています。その一環として発行した『東区ウォーキングノート』は世代別に3種類。区民に大好評です。

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『東区ウォーキングノート』を手にした東区長の小田原史佳さん (※撮影時にマスクを取りました。)

「東区を挙げてノルディーア北海道を応援したいと考えています。ノルディーア北海道の皆さんには、ぜひ区の行事に関わっていただきたいです。行事を通じて、区民にクラブを知っていただき、区民に愛されるクラブになっていただくお手伝いをしていきたいです」

東区長の小田原史佳さんはスポーツ観戦が好きで、コンサドーレ札幌(サッカー)、北海道日本ハムファイターズ(野球)、レバンガ北海道(バスケットボール)等の観戦に足を運んでいます。「スポーツ観戦の選択肢が増えて、札幌市民は恵まれていると感じます」とのこと。小田原さんにとって、ノルディーア北海道は最も身近に感じられるクラブだそうです。

東区では毎年秋に『ひがしく健康・スポーツまつり』を開催しています(2020年以降はコロナ禍により中止)。2021年は開催の代わりに公式ブック『健スポブックレット』を制作して区民に配布しました。そこでは破格の大きさでノルディーア北海道が紹介されています。ノルディーア北海道にとって、これは力強い応援です。

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ひがしく健康・スポーツまつり公式ブック『健スポブックレット』

「ノルディーア北海道は女性のチームですから、活躍することで東区の女性に活力をもらえたら嬉しいですね」という小田原さん。ノルディーア北海道に、札幌の女子サッカーのレベル向上へ力を貸してほしい、そして、世界で活躍する有望な選手を輩出してくれることを楽しみにしています。
将来は、東区からオリンピックやFIFA女子ワールドカップに出場する選手が現れ「東区役所に選手の応援垂れ幕を掲げたいです」。小田原さんは、ノルディーア北海道が、東区民に勇気と元気を与えてくれることを願っています。

子どもたちの憧れのチームが道内にあることが重要
萬純二郎さん

萬純二郎(よろずじゅんじろう)さんは、札幌市の中心部まで車で2時間ほどの距離にある勇払郡むかわ町に住んでいます。今回は、取材のために、札幌市の繁華街を走る路面電車から見える日之出ビルにやってきました。このビルの地下2階には札幌市民に有名な『立食そば ひので』があります。萬さんが学生の頃、よく通った店です。

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萬純二郎さん (※撮影時にマスクを取りました。)

萬さんは、北海道のサッカー関係者から「ノルディーアの父」と呼ばれています。
「ノルディーア北海道を応援するのは、自分の関わった子が今も残っているから。湊明穂選手は、ノルディーア北海道サテライトを作ったときの中学1年生でした。私は、サッカーをやりたいと思った女の子がサッカーを続けられる環境づくりを応援したいとずっと思っていました」

萬さんが最初にU-12の女子チームを作り、コーチ兼事務局長になったのは1995年のことでした。小学生のときにサッカーをプレーしていた娘さんが中学校に進学。自宅の近くに女子のプレーする環境がなかったことが、チームを立ち上げた理由です。その後、2004年に新たなU-15の女子チーム・FCadooma(アドゥーマ)ユースを結成。このチームがノルディーア北海道の誕生につながりました。

北海道は広大な面積の割に女子サッカーチームが少なく、遠方から長時間をかけて練習に通っている選手が少なくありません。萬さんが関わったチームで、過去最長の移動距離の選手は片道に4時間を要したのだそうです。「近くのチーム」と練習試合をするだけでも、長時間の移動を余儀なくされます。そこで、北海道内のチーム数が重要になってきます。
萬さんは、できるだけ多くの女子サッカーチームが各地で活動してほしいと思って活動してきました。だからこそ、ノルディーア北海道という「北海道の子どもたちの憧れのチームが道内にあることが重要だ」と言います。

チームパートナーであるハロータクシーのドアには「新たな女性活躍社会を目指して。」と大きく書かれたノルディーア北海道のステッカーが貼られています。女性の社会進出を応援するノルディーア北海道の取り組みを、萬さんは、どのように思っているのでしょうか。
「大賛成です。男も女も、みんな人ですから、それが当たり前にならないといけない。女子のチームが頑張って、ここで頑張っている子たちがいると見せるだけで世の中が変わっていくと思いますね」

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チームパートナーのハロータクシー

女子チームを作り、北海道サッカー協会の女子委員も務め、ずっと精力的に活動してきた萬さんは、今、多くの仲間と一緒にノルディーア北海道の試合の準備をするボランティアに参加しています。そして、試合中は、ニコニコしながら、女子選手たちの試合を温かく見守っています。

チームスタッフとは、だいたい毎日、顔を合わせる
桑澤商事株式会社 専務取締役 桑澤孝通さん

萬さんの写真を撮影した『立食そば ひので』と同じ日之出ビルの7階にノルディーア北海道は事務所を構えています。そして、一つ下の6階にはオフィシャルパートナーの桑澤商事株式会社が入居しています。桑澤商事株式会社はノルディーア北海道のメインスポンサーといえる存在。札幌市の中心街で時間貸し駐車場や事務所賃貸の事業を展開しています。

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右:桑澤商事株式会社 専務取締役 桑澤孝通さん、左:ノルディーア北海道 チーフマネージャー 金子弘恵さん (※撮影時にマスクを取りました。)

「会わない土日はあっても、平日はだいたい顔を合わせるから(笑)」
桑澤さんのオフィスは、ノルディーア北海道のポスター、寄せ書き、フニフォーム、選手の写真が印刷されたティッシュボックスでいっぱいで、ノルディーア北海道との密接な関係がうかがえます。桑澤さんが、7階に現れ、お菓子や果物を差し入れることもあります。
驚いたのは、桑澤さんが、ノルディーア北海道の週に一度の営業会議にも同席していることです。
「厳しいところもあるけど、クラブをこうしたいという前向きな考えを持ってらっしゃるからね。たまたま本体(クワザワホールディングス株式会社)が最初にスポンサーになった年に、ノルディーア北海道は地域リーグから全国リーグに昇格し、それからずっと全国リーグで戦っています。2021年からはなでしこリーグに上がり、少しずつ前進しているので、私もお手伝いのしがいがあるのです。知名度が上がりつつあるので、色々と試行錯誤しながらやってもらっています」

ノルディーア北海道のチーム名には「札幌」ではなく「北海道」の3文字が含まれています。桑澤さんは、ノルディーア北海道が北海道全体から応援されるチームになってほしいと思っています。広い北海道ですから、札幌市まで、試合をなかなか見に来られなくても、毎週末の試合結果を楽しみに応援してもらえるのが理想です。
「北海道の女子サッカーのチームで全国を戦っているのはノルディーア北海道だけなので、札幌市以外でも地域貢献活動をできればと思います。試合を見に来た皆さんは『面白い』と言ってくださいますから、一回でも見てくださる人たちが増えれば、今後の観客数を増やせると思います」

実は、ここ日之出ビルもノルディーア北海道のオフィシャルパートナーです。札幌三越の向い、札幌パルコの斜め前......札幌市の中心街で、ノルディーア北海道は多くの北海道民の支援を受けて、一歩ずつ前進しています。

今回はノルディーア北海道のホームタウン・北海道の皆さんを訪ねました。

Text by 石井和裕

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